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温泉って何? 温泉ソムリエが教える豆知識

旅のお役立ち情報

「温泉旅行に行きたいな」と、思っていらっしゃる方。そもそも「温泉」って何かご存知でしょうか?

「温泉に行きたいけど、どんな温泉が自分に合っているかわからない」「温泉の効能や種類について詳しく知りたい」という方も多いかと思います。

本記事では、温泉ソムリエが「温泉とは何か」という一般的な認識と法的な定義の違いから、各種温泉の特徴や適応症まで、温泉に関する豆知識をわかりやすく解説します。

この記事を読むことで、温泉の基礎知識が身につき、あなたの次の温泉旅行がより一層楽しくなったら幸いです。

そもそも温泉とは?一般的な認識と法的な定義の違い

炯 A01 露天風呂

温泉に対する一般的なイメージ

「温泉って何ですか?」と訊かれたら、あなたはどう答えますか?

温泉と聞くと、ほとんどの日本人はリラックスできる温泉旅館の風景を思い浮かべるかもしれません。自然の中でくつろげる、健康や美容に良い、といったイメージもあるでしょう。

温泉地や温泉宿だったり、大浴場や露天風呂だったり、お湯そのものだったり、イメージも色々です。

一般的な温泉のイメージ

  • 自然の恵み:山間や海辺など、自然に囲まれた場所に湧く温泉
  • リラクゼーション:疲れを癒やし、心身をリフレッシュさせる場所
  • 健康と美容:健康や美肌に良い温泉の成分
  • 旅行と観光:観光地として人気がある、旅行の目的地

一方で、日本の「温泉法」での定義は、このイメージとは少し違ってきます。

温泉は、日本の法律ではどう定義されている?

法的には、温泉は、昭和23年に制定された「温泉法」により『「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表1に掲げる温度又は物質を有するものをいう。』と定義されています。

では、ここでちょっとクイズです。

温泉法では、何度以上で「温泉」と定められているでしょう?   
①15℃ ②25℃ ③35℃ ④45℃

②25℃以上

意外に低い温度なので驚かれた方もいるのでは?
昭和23年に日本で温泉法を作った時に参考にしたのが、ドイツの温泉法でした。
ヨーロッパでは温泉は引用が一般的なので温度は低めの設定で、ドイツでは20℃以上を温泉と定めていました。
当時のドイツと日本の平均気温などを考慮して、ドイツより5℃高い25℃としたそうです。

温度か含まれる物質のどちらかが当てはまればよいので、湧き出した時の温度が規定以上なら何も含まれていなくても温泉、既定の物質が含まれていれば冷たくても温泉、と言えるわけです。

療養泉って何?

先ほど述べたように、地中から湧き出した時の温度が25℃以上あれば温泉となります。また、25℃未満であっても特定の物質が規定量含まれていれば、温泉となります。

でも、「〇〇温泉は✕✕に効く」というようなことを言うためには、温泉の中でも特に体にいい効果が期待できる「療養泉」でなければなりません。

療養泉は、温泉法ではなく環境省の「鉱泉分析法指針」で『温泉(水蒸気その他のガスを除く。)のうち、特に治療の目的に供しうるもので、別表2の温度又は物質を有するもの』と定義されています。

この療養泉には、それぞれ特徴を示す「泉質名」という名前が付いています。

そして、この療養泉には「適応症」というものがあって、その温泉がどんな体の悩みに良いかを教えてくれます。

「温泉の効能」と書いてあることも多いですが、温泉は薬ではないので「効能」ではなく「適応症」という言葉を使わないといけないので注意!

適応症は、どの泉質にも共通する「一般的適応症」と、泉質によって定められた「泉質別適応症」があります。

どの泉質が何に効くかを知っておくと、自分に合った温泉を選べるようになりますね。

別表1

別表1

別表2

別表2

療養泉の種類と特徴:あなたに合った温泉を見つけよう

浜の湯 風音 露天風呂からの青空

療養泉の泉質は10種類あります。それぞれ特徴と適応症が異なります。

まず、すべての療養泉に共通する「一般適応症」は、図のように15あります。

どの泉質であれ、療養泉にはこれらの適応症があるわけです。

では、それぞれの泉質の特徴と「泉質別適応症」を見てみましょう。

単純温泉

「単純温泉」は、含有成分の量が一定量に達していない、刺激が少ない温泉を指します。

日本で最も多い泉質で、全体の約40%を占めています。優しいお湯なので、特に高齢者や病後のリハビリに適しています。初めての温泉利用におすすめです。

pH値8.5以上の単純温泉を「アルカリ性単純温泉」といいます。弱アルカリ性単純温泉は、pH値7.5以上です。 これらには肌の角質をとる美肌効果があります。

単純温泉の例・鬼怒川温泉(栃木県)下呂温泉(岐阜県)など

塩化物泉

塩化物泉は海水成分に似た食塩を含み、無色透明で塩辛い湯です。

以前は日本で最も多い泉質でしたが、掘削技術の進んだ現在は次々と温泉が誕生し、単純温泉が一番多い泉質となりました。

塩化物泉は高齢者向きでよくあたたまります。 入浴することにより、皮膚に塩分が付着し、汗の蒸発を防ぐため、保温効果がよく、湯冷めしにくいです。塩による殺菌効果で傷にも効きます。

また、飲用は胃腸の機能向上に役立ちます。ただし、食塩制限のある疾患、高血圧、心臓病、腎臓病、浮腫(ふしゅ)のある時等は控えた方が良いでしょう。

塩化物泉の例・城崎温泉(兵庫県)指宿温泉(鹿児島県)など

炭酸水素塩泉

炭酸水素塩泉は、旧分類では「重炭酸土類泉」と「重曹泉」に分かれており、前者はカルシウムやマグネシウム、後者はナトリウムを含む泉質です。

「重炭酸土類泉」は鎮静効果があり、アレルギーや慢性皮膚病、痛風、尿路結石、膀胱炎、糖尿病、慢性胃腸障害に効果があるとされています。無色透明で、鉄分や炭酸分を含み、石鹸の効きは悪いです。

「重曹泉」は皮膚病や火傷、切り傷に効果があり、皮膚を滑らかにするので「美人の湯」とも呼ばれています。飲用では胃酸を中和し、胃の運動を促進し、慢性胃炎に良いとされます。無色透明で石鹸の効きは良いです。

炭酸水素塩泉、特に重曹泉は、入浴中は肌がスベスベするのですが、入浴後は皮膚表面から水分の発散がさかんになるので、乾燥肌の方は特に入浴後の保湿剤によるケアが必要です。

炭酸水素塩泉の例・嬉野温泉(佐賀県)湯村温泉(兵庫県)など

硫酸塩泉

硫酸塩泉は、カルシウム硫酸塩泉(石膏泉)、ナトリウム硫酸塩泉(芒硝泉)、マグネシウム硫酸塩泉(正苦味泉)に分類され、それぞれ効能が若干異なります。

「石膏泉」は、高血圧や脳卒中、皮膚病などに効果があり、打身、切り傷、火傷、乾癬や慢性湿疹などの皮膚病にも良いとされています。飲用では腸の蠕動運動活発化させ胆道疾患や便秘にも効果があります。

「芒硝泉」は、高血圧や動脈硬化、外傷などに良いとされます。飲用では石膏泉と同様の効果があります。

「正苦味泉」も浴用・飲用ともに同様の効果があり、特に高血圧や脳卒中後の麻痺改善に効果的です。動脈硬化予防にも良いとされています。無色透明で苦味があり、マグネシウムによる鎮静効果があります。

例・玉造温泉(島根県)、河口湖温泉(山梨県)など

二酸化炭素泉

二酸化炭素泉は、二酸化炭素を含む温泉です。 泉温が高くなると炭酸が気化、遊離するため、一般に泉温は低いです。

入浴すると気泡が体に付着し、皮膚から炭酸ガスが吸収されて血液循環を促進します。これにより、泉温が低いにも関わらず温まり、高血圧や心臓病に効果があるので「心臓の湯」とも称されるのです。

飲用すると軽い酸味と清涼感があり、利尿作用や食欲増進にも効果があるとされます。

成分が失われやすいため、加熱・循環していない新鮮な湯を利用することが理想的です。

二酸化炭素泉の例:長湯温泉(大分県)下仁田温泉(群馬県)など

含鉄泉

含鉄泉は鉄分を含み、空気に触れると黄色(褐色)に変色します。

浴用ではよく温まるため、リウマチ性疾患、更年期障害、子宮発育不全、慢性湿疹などに効果があるとされます。

飲用すると胃酸の分泌を促進し、鉄分の吸収を助けるため、貧血の改善に役立つとされています。

含鉄泉の例:有馬温泉(兵庫県)など

硫黄泉

硫黄泉は、硫黄の作用による特異な効果を持つ温泉です。遊離炭酸ガスや硫化水素を含む「硫化水素泉」と含まない「硫黄泉」の二種類があります。

卵の腐ったような匂いの硫化水素ガスに温泉らしさを感じる方も多いでしょう。

金属を変色させるため、装飾品を外して入浴するのが望ましいです。

硫黄泉は痰を出しやすくし、気管支拡張症や動脈硬化症などに効果があります。

また、解毒作用があるため金属中毒や薬物中毒、皮膚病やリウマチにも効果的ですが、強い作用のため病弱者や高齢者はなるべく避けたほうがよいでしょう。

硫黄泉の例:高湯温泉(福島県)万座温泉(群馬県)など

酸性泉

酸性泉は酸性度が高い温泉で、大抵無色または微黄褐色で酸味があります。

抗菌力に優れており、白癬、トリコモナス膣炎、疥癬などに効果的です。

飲用では低酸症や貧血に利用されますが、刺激が強いため病弱者や高齢者、皮膚の弱い人には適していません。

入浴時は肌がしみ、肌の弱い人は湯ただれをおこすことがあるので、浴後には十分に洗い流して拭き取る必要があります。

酸性泉の例:玉川温泉(秋田県)岳温泉(福島県)など

放射能泉

放射能泉は、文字通り放射能を含む温泉です。

放射能というと怖いイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、温泉中に含有されるラドンは湧出後は空気中に散飛するため全く心配ありません。

これらは浴用・飲用でも体内に吸収されますが、呼気によってすぐ体外に排泄されます。 ラドンは吸入が一番良いです。

高尿酸血症、痛風、糖尿病、各種内分泌系の機能向上に効果があります。

浴用によって腎機能の改善や鎮静作用もあるため、神経痛やリウマチにも利用されます。尿酸を尿から出すので「痛風の湯」とも呼ばれます。

ただし、湯あたりを起こしやすいので注意が必要です。

無色透明で薬効が高いものの、数が少なく貴重な温泉です。成分が失われやすいため、加熱・循環していない新鮮な湯を利用することが大切です。

放射能泉の例:三朝温泉(鳥取県)増富温泉(山梨県)など

含よう素泉

含よう素泉は、ヨウ素を多く含む温泉で、飲用することで高コレステロール血症に効果があります。

抗炎症作用や代謝促進効果があります。特に動脈硬化症、婦人病、皮膚病に有効です。体を温める効果も高く、冷え性や疲労回復にも役立ちます。

無色透明からわずかに黄色を帯びることがあり、独特の臭いが特徴です。

含よう素泉の例:強首温泉(秋田県)、前野原温泉(東京都)など

草津温泉の泉質は?

療養泉には10種類の泉質があることがわかりました。

では、にっぽんの温泉100選で長年TOPを保ち続けている「草津温泉」は、どんな泉質だと思いますか?

実は、草津温泉には主に6つの源泉があり、泉質は3つに分けられます。

  • 万代鉱:酸性-塩化物・硫酸塩温泉
  • 湯畑・白旗・地蔵・煮川の湯など:酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉
  • 西の河原:酸性-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉

このブログでご紹介している宿「炯-kei-」さんには、万代鉱源泉と地蔵源泉から温泉がひかれています。

お部屋や貸切風呂ごとに違うタイプのお湯が楽しめるわけです。

草津温泉のように、いくつもの泉質の源泉を持つ温泉地は珍しくなく、北海道の登別温泉の泉質はなんと9種類あるそうです。

大きな温泉地で宿や日帰り温泉を選ぶ場合、どの源泉のどんな泉質のお湯なのかを調べてみると良いですね。

日本には多種多様な温泉があり、それぞれにユニークな特徴と効能があります。自分に合った温泉を見つけ、心身ともにリフレッシュする旅を計画してみてください。

それでは、素敵な温泉旅行を!

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